スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

バレエダンサーの身体の条件 【つま先と甲】

 

今回は
バレエにつきない身体の悩みと共に
それらにどのように向き合っていったら良いか
お話していきたいと思います。



バレエは非常に特殊な技能です。
「頑張ればなれる」他の職業とは違い
才能やセンス、運動神経の他
生まれつきの身体の条件
将来の可能性を大きく左右します。

 

f:id:balletblog:20180928021931j:plain

 

例えば、
通訳、アナウンサー、ピアニスト
料理人、エンジニア、医者、陶芸家
肉屋の店員、学校の教師など・・・

 


「容姿が良い方が得」
というのはどの世界にもあることでしょうが
プロになるために、通常体型は関係ありません
むしろ容姿を否定するのは差別にあたります。


たいていのことは、沢山勉強をして知識を得れば
努力次第でどんな人にもチャンスがあるはずです。

 

 

 

しかしバレエは違います

 

 


ショービジネスの世界ですから
体型や見た目、華やかさはとても重要です。


また、ただ単に細ければ良いという事も無く
バレエという特殊な動きを可能にするため
様々な身体の条件も必要になってきます。

 

 

しかし
例え「脚がO脚だ」「股関節が堅い」
「甲が伸びない」という人でも、
コンプレックスや欠点をカバーする事は可能です。

 

 

 

 

 

f:id:balletblog:20180904174516j:plain

 
特に日本人は、欧米人と比べると
明らかに不利な条件の人が多いのは事実ですが
一生懸命、正しい稽古を続ければ
確実に身体は変わります。

 

 

そんな理想の身体に近づくために
「ではどんなことをしたら良いのか?」
を、皆さんと一緒に考えていけたらと思います。

 

 

いろんな悩みがありますが
今回はバレエの命「つま先と甲」についてです。

 

 

f:id:balletblog:20180906180113j:plain

 

つま先と甲


言葉だけで説明するのが難しいので
自分で絵を描いてみました。

お見苦しい点もございますが
温かく見守っていただければと思います。

 

まずはこちら。

f:id:balletblog:20180928230754p:plain

 

甲の綺麗な丸み(アーチ)が見え、
土踏まずとかかとが高く引き上がった
良いタンジュの状態ですね。

 

よく「つま先を伸ばしなさい」
と言われますが、厳密に言うと
本当に伸ばさないといけないのは「甲」です。
大切な事なのでもう一度言います。
伸ばすのは「甲」です。


指の部分は、縮めたり丸めないでください。

 


甲や足首が堅く、思うようにつま先が伸ばせない日本人は
代わりに指やアキレス腱をギュッと縮ませて
なんとなくつま先を伸ばした気になってしまいがちですが
間違いです。

 


これでは結局、肝心の甲は伸びていないため
何も解決していません。
そしてのちにトゥシューズで立った時
「指立ち」を引き起こす原因にもなります。

 

 

 

 

その「甲が伸びていない状態」がこちら。
結構よく見るタンジュではないでしょうか?

しかし典型的な悪い例です。

 

f:id:balletblog:20180928231529p:plain

甲のアーチが無く平ら。
または図のように反対の「く」の字になっています。
甲は堅く薄っぺらく、
土踏まずの筋力も足りないために
下からぐっと押し上げ、支える力がありません。

 

 

 

タンジュを行う際に
私が一番重視しているのは
「ドゥミ・ポアントをしっかり通す」
という事です。

 

ときどき、1番で立った状態から
「ぽんっ」と簡単そうにタンジュを出す人がいます。
足を鍛えるのに必要なポイントを全てすっ飛ばした
非常に中身の無い残念なタンジュです。
ていうかもはやタンジュではないですね。

 

これでは
床を使って足を押し出すことによって鍛えられる
足の裏の筋肉が育たないので
これを何度繰り返したところで
つま先・甲は綺麗になりません。

 
あなたが、甲の薄い典型的な日本人なら
タンジュ1つ出すにも汗をかくぐらい
神経を使ってじっくりやってください。


小さな事、地味に見える事こそしっかりやらないと
あなたの踊りはどんどん安っぽくなります。


 

f:id:balletblog:20180903180557j:plain

 


さて、
先ほどの悪い例の絵を少し左に傾けて
トゥシューズで立っているところを
イメージしてみてください。
見事な「指立ち」の状態になりますね。

指立ちとは、
トゥシューズに指(甲から下)をひっかけて
膝が曲がったまま立っている状態です。

コンクールなどでも非常に良く見る
間違ったトゥシューズの立ち方です。

 


甲がきちんと伸びないということは
つま先が真下を向かない
ので、
そもそもトゥシューズで正しく立てるはずがありません。


それでも頑張って立とうとするので
膝は曲がるわ、余計なところに力が入るわ
というわけです。
何か1つ出来ていない事を誤魔化そうとすると
それをカバーするためにいろんな身体の部位が崩れ始めます。


それでも
その辺のバレエ教室の先生は
小さい子にトゥシューズを履かせてしまうんです。
じゃないと生徒のやる気は保てないし
保護者が他の教室と比較し文句を言い始めますから。

 


でもね、
早くトゥシューズを履かせてくれる先生が
良い先生というわけではありません。
ここは全然イコール(=)ではないです。


身体の条件や準備、頭の理解度も個人差があるので
年齢に関係なく「この子は準備ができた」
と認めてもらってからやっと先生の許可が出る。
本来そういうもののはずなのです。

 

 話しは反れましたが・・・

 

 


とにかく、綺麗なタンジュをするにも
正しくトゥシューズで立つにも、まずは


「甲を伸ばす事」
が絶対条件
なのです。
硬くても不器用でも
必ずやってください。

 

 

 

それでは少し、甲を綺麗にのばすための
エクササイズをいくつかご紹介します。

 

 

 

甲伸ばしのストレッチ

 

お風呂上がりやレッスン後で、
身体が温まっているときが効果的。


床に座って脚を前に出します。
片脚はパッセのように曲げて
もう一方の脚の上に乗せます。


これは皆さんも普段からやっている
つま先のストレッチだと思いますが
ただなんとなくやっていませんか?
このときに気を付けるべきポイントが重要なのです。


土踏まずのアーチを押し上げる方と
甲を伸ばす方とで
両手を使って助けてあげながらストレッチしましょう。

 

先ほども書きましたが
この時、足の指やアキレス腱はぎゅっと縮めず
力を抜いてリラックスさせ
甲を伸ばす(出す)こと、
土踏まずのアーチを作る事だけに集中します。
内側(上)に曲げるとカマ足になるので気をつけて!



ただこの方法
自分の力だけでやるにはやはり限界があります。

こちらの章で紹介している甲伸ばしスティック
ってみなさんご存知ですか?

balletblog.hatenablog.com

 

甲がかなり堅い人にはちょっと強制的になるかもしれません。
というか下手したら
「全然使えんやん」と言って捨てたくなるかもしれません(笑)


でも、甲や足首が堅い人ほど
毎日ちゃんと少しずつやれば
その分効果や上達が実感しやすいとは思います。

でも「甲を伸ばすってこういうことかー!!」という感覚
自分でストレッチする場合と比較になりませんから
個人的には一度使って頂きたいなとは思います。
興味のある方は是非読んでみてくださいね。

f:id:balletblog:20180904174516j:plain

 

ルルべを高く持ち上げるエクササイズ

 

実際に立ってルルべになる前に、
足の可動域を広げるエクササイズで
ウォーミングアップをしましょう。

 

床に座り、片足の膝を立て
かかとをぐっと持ち上げます。

f:id:balletblog:20180928232203p:plain

ドゥミ・ポアントの状態で
しっかり指の付け根に体重を乗せたら
お尻を浮かせてぐっと甲を前に押し出します。


土踏まずの角度はどのくらいまで上がるでしょうか?
高ければ高いほど、ルルべも綺麗ということになります。

 
土踏まずの所がきゅっと引き上がった90度になるまで
かかとをグッと高い位置に持っていき、保ちます。
ここでもカマ足(バナナ足)に気をつけながら
ゆっくり上げ下げを行いましょう。


裸足で行うと床も感じやすく
また鏡で歪みを確認しながらやるのもお勧めです。

 

 

土踏まずの力が弱い人、もしくは甲が硬い人は
恐らくかかとが高く上がらないはずです。
最初は土踏まずがつるかもしれませんが、
まずは少しずつ可動域を広げていきましょう
そして段々と鍛えられると、かかとの位置も更に高く
持ち上がるようになるでしょう。

 

使わない筋肉は鍛えられません。
普段から常に高いルルべを意識する事が
綺麗にポアントに立つ訓練になるということを
お忘れなく!

 

そして
量より質を大切にという気持ちを持って
一回一回丁寧にやって
くださいね。

 

また
このエクササイズでしっかりかかとが引き上がるようになったら
次のエクササイズにも挑戦してみましょう。

 

balletblog.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

 バレエ部門のランキングにも参加しています♪

 

それでは。