スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

なぜ日本人はコンテンポラリーが苦手なのか

今回は「何故日本人はコンテが苦手な人が多いのか」
についてお話ししたいと思います。

コンテンポラリーダンスが上手になりたい!
という方は、何かのヒントになるかもしれません。

 

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①周りを気にする日本人

外国人は、レッスン中でもなんでも
「質問がある人ー?」と聞くと必ず数人が手を挙げます。
「さっきのここもう一回見せてください」
「ここは顔をこう後ろに残す感じですか?」
など、
自分の意見をしっかりと言ってくれるので
教える側としても
どこが分かりにくかったかをすぐに把握することができ
リハーサルを円滑に進めることができます。

 

しかし
他人任せでなかなか自分の意見を言わないのが日本人です。
心の中で
「あそこ分かんないんだけど、誰か聞いてよー」と思っています。
口数が少ない方が、日本では美徳とされてきたからです。


私も日本人ですし、学生の頃は同じでしたから気持ちは分かります。
先生に「もう2回も説明したのに聞いてなかったの?」
と思われたらどうしよう・・・とか
「最初パッセはカウント5って言ってたのに、さっき6って言ってた。
どっちだろ・・でも先生の間違いを指摘するなんて、嫌われるかも・・」


そんなことばかり考えては、結局何も聞けず
自信もないのでどんどん後ろの方に追いやられていきます。



しかし、ライバルに交じってレッスンするのであれば
そこでもじもじしていては、ますます差をつけられてしまいます。

分からないことが恥ずかしいのではありません。
何が分からないのかすら分からない、
分からない事をそのままにしてしまう事の方が恥ずかしいのです。

私は、周りを気にしてしまう、こういった日本人特有の考え方も
コンテンポラリーの上達の邪魔をしているのではないか、と思っています。



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②優等生な日本人


留学先で、先生に言われた事が器用に出来る優等生は大体日本人。
逆を返せば、指示がないと何をしていいか分からない・・
これも典型的な日本人です。

先生が「スライムになった気持ちで自由に表現して!」
と急に言い出したらどうでしょうか?
「自由に踊っていいの!?やったー!」と思ってすぐに動き出せるでしょうか?
それとも尻込みしてしまう?

 

バレエはきっちりポジションが決まっていて、それぞれに名前がついています。
ルールもあるし、典型的な流れもあります。
例えば、鼻の先に手を伸ばすアロンジェは、必ずアンナヴァンを通ります。
脚はいきなりどこかから生えてきません。
バットマン、もしくはパッセを通過してデブロッぺ
などという「型」があるわけです。

けれどコンテンポラリーの正解は、それを振り付けた本人が持っています。
つまり、なんでもありです。
突然どこかから手が出てきても、振付家
「そうだ!素晴らしい!」といえば正解。
「うーんなんか違う」と言えば違うし、
昨日はいいと言ったのに、今日は違うと言うかもしれません。

コンテンポラリーダンスでは、振付家の意図を理解し、
「こんな感じ」と見せられた動きを
その時その時で上手にコピーする対応力が求められます。
型が決まっているバレエと大きく違うポイントの1つですね。

また、コンテンポラリーのクラスやリハーサルではよく
インプロビゼーションと言って、即興・アドリブとも言われますが
つまり、型にとらわれず自由に思うままに動いてみて!
という時間が必ずあります。

日本人の生徒を対象にコンテンポラリーのクラスをすると
ずっとくねくねした同じ動きしか繰り返せない子がとても多いです。
新しい動きを生み出す創造力が無く
どうしていいか分からず、思考が完全に停止している状態です。

 

 

日本人は、言われた事は真面目に出来る分
「自由にやって」と言われると急に思考が停止してしまうんです。

ここを克服して頭を柔らかくすることができれば
コンテンポラリーの習得速度は目に見えて上がるでしょう。
バレエのレッスンでも、言われたこと以上のこと
期待に応えられる何かを常に模索する姿勢も大切です。

もちろん、コンテには慣れも必要なので
積極的に様々なタイプの振付家のワークショップを受けてみましょう。


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③日本人の文化やルーツ

バレエはロシア人やヨーロッパの人々のために作られた踊り。
また、アメリカ人が小さい頃からブリトニースピアーズを見て育っている中
日本人は盆踊りの国です。
この時点で私が何を言いたいか、もうお分かりですね。

盆踊りでも日本舞踊でもいいですが
そもそもあまり激しく動かないですよね。
私は詳しくはないので大したことは言えませんが、
まず浴衣や着物を着ている時点で、脚が上げられないどころか
バレエに比べるとほとんど下半身の自由がないという事は分かります。

日本人はそういう文化で育ってきているので
アフリカ人や欧米人の様に、アップテンポの曲に合わせて
身体を大きく自由に動かしながら、リズムを刻むというのが
なかなか本能的に無いのかな、と思っています。
簡単に言うと、ノリが悪いんですよね。


海外に留学すると、必ずクラブなどにも誘われます。
若者が集まって、爆音でお酒を飲み踊り狂う、あのクラブです。
ここで棒立ちしているだけではなく「これもバレエのためだ」と思うと
案外良い訓練になったりもします。(経験者は語る)

こう考えると
留学前から、バレエと並行して
リズム感や感性、表現力を養う他のジャンルのダンスを学んでもいいのかな
と思ったりもします。
もちろん、両方やることによってバレエがめちゃめちゃになる危険性もあります(笑)


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コンテンポラリーコンテンポラリーダンスを習得するには
これらの日本人特有の考え方や恥ずかしさを一度取っぱらう必要があります。

また、②でも言いましたが、もちろん慣れも必要です。
初めてのクラスより、10回目のクラスの方が居心地が良いに決まっていますよね。

振付家ごとにスタイルも雰囲気も全く違うので、
是非いろいろなワークショップに参加してみるのがおすすめ。
段々とコツが掴めてきて「コンテって楽しい!」と思えたらこっちのものです。

まずは「早く上手にならなきゃ」と思うより
苦手意識を克服し、楽しみながらトレーニングすることを目指してみましょう。

 

 

今後留学やカンパニーを目指す方は特に
コンテのテクニックは必須です。
バレエの基礎がしっかり固まったら(頭は固めずに)
中学生くらいからコンテに慣れておくと良いと思いますよ。
頑張ってください。



 

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それでは。