スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

日本と世界、バレエ教育のレベルの差

今回のテーマでは
日本のバレエ教育と世界のレベルの差
をお伝えします。

将来プロを目指す方は、これを知ることが
今後の進路を決める1つの材料になるかなと思いました。


将来プロのバレエダンサーを目指しているわけではないのなら
今の日本のバレエ教育で十分ですよ。

 

 

海外のバレエ学校には
将来プロのダンサーになりたいと考える
本当に真剣な学生たちが入学します。

これは、日本人を含め海外からの留学生はもちろん
現地の子供も含みます。

 

教師も施設も一流ですので
日本の「習い事バレエ」とは
何もかも、質が違うのです。

 
身長が伸びず悩む人も多いというのは
あなたの周りでも聞き覚えがあるかもしれません。
これは単なる遺伝ではなかったとしたらどうでしょう?
日本のバレエ教育では
成長期に筋肉を固めるような、
身体に負担のある踊り方を教えられている場合が多いと言えます。

 

少子化でバレエ教室数が世界トップクラスの日本では
全国的に、生徒の取り合い問題が起きています。
子供・親を満足させることを優先した結果
まだ十分に身体の準備が出来ていない段階で
トゥシューズが履かせることが当たり前
という習慣が根付いてしまったので
子供の身体には大きな負荷がかかり
怪我をする恐れもあり本当はとても危険です。

キラキラした衣装を着て
ソロで踊りたいという顧客の要望を優先し
基礎が不十分な状態で
コンクールに出るためにヴァリエーションが与えられます。


そもそもスタジオが狭く生徒も少ないので
コールド・バレエは経験できませんし
個人指導の方が先生の収入も良いので
気が付けば結局ヴァリエーションばかり。

目先の収入を考えるあまり、
あなたの身長が伸びようが伸びまいが
きちんと基礎が出来ていないまま辞めようが
なんちゃってバレエであろうが
日常生活に差し支えのない程度の怪我をしようが
そんなことは考えられない(または知識自体持っていない)
指導者も多く見受けられます。

 

f:id:balletblog:20180830183633j:plain

 

海外でバレエ団員として踊ってきた実力のある指導者でさえ
今の日本の「少子化及び生徒取り合いの渦」に巻き込まれ
小さな子供に難しいヴァリエーションを踊らせざるを得ない、
ということも現状にあります。

 
でも子供は
とにかくキラキラした衣装と憧れのトゥシューズを履いて
舞台で一人で踊りたいんです。
バレエ素人である親は、子供のそんな姿を見たいんです。


少子化の上、すぐ近くに別のバレエ教室があるとなると
ますます指導者の立場は弱くなり、
顧客の希望にできるだけ応えようとします。
まあ、普通の考え方ですよね。

 

 

本気でバレエを習いたい
将来はプロを目指している、という方でも
だからといって年齢的、経済的、今の実力的にも
すぐに留学というわけにはいかないかもしれません。


そんな方は、日本国内でも探せば良い教室は沢山あります。
地味でも、もっと基礎に重点を置いた厳しい教室に移る事をお勧めします。

 

f:id:balletblog:20180829224748p:plain

  

 

プロを目指す場合

 

プロを本気で目指す子供達は、オーディションを経て
国立、州立、王立、バレエ団付属
などの一流バレエ学校に入学します。
ここでは
年齢(学年)に応じた身体と精神的な成長に合わせ
長期的に踊れる身体づくりをします。

 

正確なポジションや、綺麗に伸びたつま先
しっかりとした軸を叩き込むことに莫大な時間をかけるのです。
平日毎朝8:30から基礎のバレエレッスンから始まる所が多いでしょうか?
とにかく、丁寧に丁寧に基礎を繰り返す毎日です。


Youtubeなどでもワガノワ生のクラスなどを見る事ができます。

www.youtube.com


こちらは2年生のクラスとのことですが
とてもシンプルな動きをゆっくり丁寧に行っています。
当たり前ですが、膝もつま先もしっかり伸びていますね。
はい、そういうことです。


この子たちは現時点では
日本の子供達が踊っているような
難しいヴァリエーションは踊れないかもしれません。
ですが


ぶっちゃけ基礎がしっかりしていれば
例え初めてのヴァリエーションが15歳であろうと
たいていの作品は踊る事が出来るでしょう。

 

そして気付けばここで
日本の子供達が一気に抜かされるわけです。
(ヴァリエーションに関してのみ言えば)

 

バレエ学校の生徒達は、バレエの実技以外にも
プロになるために必要な様々なクラスを受けます。
キャラクターダンスやコンテンポラリークラスの他
解剖学やヨガ、栄養学、ピラティス
コールド・バレエを体験するための、全幕バレエのリハーサルなどです。

 

本当にプロを目指している人たちのレッスン環境は
日本のバレエ教育とは全てが別物と考えて間違いないと思います。





f:id:balletblog:20180828022451j:plain


ただ最近の海外のコンクールを見ていると
特に上位入賞者になると
たぐいまれなる運動神経と
恵まれた体型を持った外国人の子供達が
難しいヴァリエーションを披露しているのを見かけます。


中には13歳でも恵まれた体型をしていて
既にパーフェクトなターンアウト、
しっかりとした軸と筋肉が身についており
難易度の高い作品をこなせるだけの才能を持った子供達もいます。


「年齢的に、精神がまだ未熟とはいえ
これだけ身体のコントロールが出来れば
たしかにそれなりのヴァリエーションに挑戦するのもあり」
とは思いますが、
これはあくまでも稀な天才ケースであって
日本のコンクールでヴァリエーションを踊っている13歳の多くは
ほとんどが膝も曲がっていて、つま先もぶらぶらなので
そこは別物とお考えください。

 

 

 

まとめ

 


将来プロを目指しているわけではないのなら
今の教室で十分だと思います。
バレエが好き!という気持ちを大切に
自分に合った指導者に出会えれば文句無しです。


しかしプロを目指したいのなら
日本のバレエ教育と世界のレベルの差を
知っておくのと知らないままでは
今後大きく違うと思い、お伝えしました。

 

せっかくの努力が間違った方向に流れてしまうと
やればやるほど間違ったポジションが身に付いてしまったりと
お金も時間もその努力も、もったいない事になってしまいます。


今のお教室は本当に自分のためになっているか?
自分はバレエとどう向き合いたいのか?
考えるきっかけになれば嬉しいです。

 

それでは。