スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

バレエを始めるのに適切な年齢は?

 

米国・アメリカン・バレエ・シアター
初めて黒人女性としてプリンシパルになったミスティ・コープランド
13歳でバレエを始めたそうです。
天才を例に出してもあまり参考にならないと思いますが
一応そういう人もいます。

ただ、あなたが天才ではないとして
プロ (バレエ団に所属し、毎月給料を得て踊ることだけで食べていける人)
になりたいとおもっているなら遅くとも
9,10歳までには始めないと間に合わないかと思います。


というのも


19歳でカンパニー入団
15,16歳で留学 (週30時間)
12歳でポアントを履き始め (週 5回)
9歳でバレエを始める (週2,3回)


という風に逆算すると、ある程度才能があっても
これくらい(10年!)が必要最低限の時間だと思うからです。

 

 



 

 

バレエを始めるのに適切な年齢は?


では、今回のテーマである
いつからバレエを始めるのが最適か?
ということですが
考え方はいろいろあると思います。

バレエは3歳から入れるお教室が多いですが
3,4歳児のクラスといえば、正直バレエというより託児所です。
内容は、簡単なストレッチと
あとはクラシック音楽に合わせて遊んだり体を動かすくらいです。
バレエのポジションはほとんどできません。
なので別に3,4歳からバレエを始める必要はないと思っています。

ただ、小さい頃から、将来バレエに活かせる習い事を
しておくのはいいことだと思います。
バレエでなくてもよくて、例えば
音楽性を養うならピアノ
身体を動かすならジャズダンスや体操などでも十分だと思います。

実際にバレエのポジションを始められるのは
5歳を過ぎてからくらいでしょうか。
でもまだまだ遊びたい時期なので
ここではバレエの楽しさをメインに伝えます。

 




あくまで私の肌感覚ですが
7歳にもなると、自分の意志で「バレエを続けたいか辞めるか」に分かれ始めます。
残った子は少なくともやる気のある子だと思って接するので
レッスンも少しずつ厳しく、難しくなります。


そしてこの頃が、バレエを始めるのに
早すぎず遅すぎず良い時期かなと思います。
なぜ基礎が大切なのか?を本人たちに理解させるのは
気が遠くなるような作業になりますが
伝え続けることで意識が変わっていくのが分かります。
大人の2,3年って大したことないけど
子供の2,3年の変化は本当に大きいですよね。

 

例えばタンジュ1つとっても
膝が少しでも緩むとやり直し。
私は毎回のように床に座り、一人ずつ脚を触って
分かってもらえるまで何度も同じことを繰り返します。
また、おへそが少し正面からズレてもすぐ曲を止めます。
この時点で直さないと、あとあと指導者も生徒本人も苦労します。
このやり取りは、5歳児では難しくても、
7歳になるとしっかりキャッチボールできるようになります。

さあ、この調子でコツコツレッスンを続け
11歳になるまでの数年間で、
きちんとバレエの基礎ポジションを身に付け
膝と甲をしっかりと伸ばし
トゥシューズの訓練に耐えられる強い身体に鍛えておく必要があります。



世界的に推奨されているトゥシューズ履き始めの時期は11歳以上
子供の足の骨は、13~15歳にかけて硬化されるためです。
もちろん足の問題だけでなく、精神的なこともありますよね。
そのため本来なら、
早すぎる段階でトゥシューズを履かせるのは大変危険なのです。

 

 

 

 

 

日本の問題

 

・・・しかし日本はどうでしょうか?
コンクールなどでは、10歳児がトゥシューズを履いて
当たり前のようにヴァリエーションを踊っています。
キラキラの衣装を着て、素人目には一見華やかに見えるかもしれませんが
もちろん正しく立てていません。

このように未熟な生徒にトゥシューズを履かせてコンクールに出すことは
「私はバレエ指導者と名乗る素人です」
と舞台上で公言しているようなものです。
恐らくその指導者は、自分自身も恵まれたバレエ教育を受けることができず
留学や指導の勉強もしたことがないのでしょう。

もちろん、10歳児がトゥシューズでヴァリエーションを踊ることを
許可している(むしろ後押ししている)コンクールの運営側にも
そういった勘違い指導者
日本独自のおかしなバレエ文化を生んでいる責任
があると思います。


日本は世界的に見てもトップクラスで個人経営の小さなバレエ教室が多く
少子化の今、近隣のお教室同士で生徒の取り合いが深刻化しています。
また日本はバレエコンクールビジネスも盛んです。
そのような楽しいイベントや餌が無いと、どんどん生徒が離れてしまうので
指導者も早くトゥシューズを履かせてコンクールに出したがるというわけ。
生徒をコンクールに出すことで
個人指導と遠征引率で、月謝+@の追加料金を徴収することもできます。
生徒と親の気を他のスタジオに向けないようにするのに必死で
肝心の「指導の質」は二の次になっているのではないでしょうか。

また、指導者が間違った方向に走るその他の理由としては、
あまり厳しいお教室ではなく、プロになるほど真剣にやっている子がいないので
みんなどうせ中学生で辞めるから
その前に思い出としてトゥシューズを履いておきたいなど
そんな素人の親と生徒の要望を
聞き入れてしまうという人も少なくないと思います。
いや~ 、親の方も教育が必要ですね。

 

まとめ

 

というわけで、私の
バレエを始めるのに適切な年齢は?についての結論は
ずばり「7歳ごろ」でした。

そしてトゥシューズを履く11歳までに
コツコツ基礎を習得することが理想なのですが
日本ではなかなかそのようにいかない現実と
その理由までをお話ししました。


いかがでしたでしょうか?
今後バレエを始めたい方やその親、
トゥシューズが履けなくて焦っている方などの参考になれば幸いです。


 

おわり。

 

 

 

 

 

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