スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

国立のバレエ学校が無い日本のバレエ教育

なぜ皆さんは
海外でバレエ留学がしたいのですか?

 

バレエ留学すると
日本にいたときとは比べ物にならないほど
バレエに費やす時間が出来るのというのは
もはや説明不足でしょうが
ではもっと具体的に、どんなメリットがあるでしょうか。

 

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そもそも海外の国立バレエ団や
付属の国立バレエ学校がある国では
バレエ教育に対する考え方・教え方が根本的に違います。

 

まず

国立のバレエ団がある
→バレエは身近な存在で
一般客が劇場に足を運ぶ習慣がある

→バレエ団人は公務員として雇われ
安定した給料を得ながら生活出来る

 

この点が
日本と海外との最大の違い、そして
今回の記事のポイントだと思います。

 

 

 

一方
日本のバレエ教室のほとんどが
個人経営のスタジオです。
教師になるのに立派な履歴も資格も不要。
自分のスタジオさえ開いてしまえば
たとえ間違ったバレエを教えていたとしても
誰も文句は言いません。

 

また
子供達は平日、毎日夕方まで学校があります。
そのためレッスンができるのはせいぜい
夕方6時頃~長い人で10時頃まで。
留学などを目標にしている人は週末も含め
週に6~7回稽古している事と思いますが

それでもやはり
国立のバレエ学校で10歳から学んでいる人たちに比べると
圧倒的に稽古時間が足りません。
あくまでも「習い事」の域から
抜ける事は出来ないのです。

 

 

また、派手なヴァリエーションや
コンクールばかりに目が行きがちで
定期的なコンテンポラリー、キャラクター
ピラティスやコールドの練習など
これらのクラスを提供しているスタジオは
ほとんど皆無に等しいのではないでしょうか。

 

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一方で国立のバレエ学校は
毎朝8:30から1時間半のバレエクラスがあります。
もちろん学校によりカリキュラム・スケジュールは様々ですが
加えて週に1~2回のパ・ド・ドゥクラス(上級生)や
ヴァリエーションクラス、コンテンポラリークラス
キャラクタークラス、ボディメンテナンスやピラティス
レパートリー又は舞台のリハーサル
などといったクラスが入っている事と思います。
またその間や後に、アカデミックの授業が入り
早くて午後3時、遅くても
5時には終わる所が多いのではないかと思います。


そして素晴らしいのが
このように毎日バレエ付けになっても
きちんと義務教育を終えられるような仕組みが
出来あがっていることです。

 

ここも日本との大きな違いですね

 

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まずは基本のバレエクラス。
毎日必ず行われるので、焦って無理に難しい事を
詰め込むような教え方はされません。


国立のバレエ学校だと、入学している時点で既に
身体条件や将来性など、その学校の基準を満たし
狭き門をくぐり抜けた生徒が集まっているわけですから
ある程度脚の形や身体能力が整っているわけです。

 

その選ばれた生徒達(10歳頃~)が毎日のクラスの中で
まず美しく!正しく!立つところから始まり
丁寧に時間をかけてポジションを習得し
末永く踊るための筋肉を付けていきます。
同時にバレエダンサーとしての心構えや
振る舞いが自然と身についてくるわけです。


この時点ではまだ
日本の習い事レベルのバレエのように

ターンアウトが出来ていないのにピルエットをしたり
筋力もついていないのにグラン・ジュッテを教えたり
つま先が伸びないのに無理やりトゥシューズを履かせたり
膝が曲がっているのにイタリアンフェッテを始めたり
見よう見まねでヴァリエーションをやったり・・・

というようなことは
まずありません。

 

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・・・でも仕方が無いんですよね。
日本という国は
バレエという芸術を
国単位で応援してくれません。

 

ですから本来は
16歳17歳と言わず、なるべく早いうちから
このような海外のバレエ学校に入れれば良いですが
日本から遠く離れた土地で、いくらバレエのためとはいえど
12歳、13歳といった子供が一人で留学するなんて
現実的ではありません。
(実際に16歳以下の留学生は受け入れない学校も多い)



 

アジアの中でもバレエ面ではかなり後遅れを取っている日本。
いつか立派な国立バレエ団やバレエ学校が出来る日は
やってくるのでしょうか・・・?