スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

バレエ教室と指導者の責任


今回は
バレエに関わる日々の生活の中で感じる
「指導者の責任」
についてお話したいと思います。

 

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少し前の事になりますが、
コンクール会場で見た
あの異様な光景が忘れられません。

私がバレエ団を退団し、
帰国して間もない時の事でした。

 

 

異様な光景と言っても
子供たちが舞台裏の廊下で
各自アップをしているだけなのですが


そのバーレッスンがひどい
アップの仕方もなのですが
もうバレエに対する意識も態度も全て。
 

 
ポジションは締まっていないし
もちろん集中もしていない。
どうやら膝も伸ばす気が無い。
近くでお菓子を食べている子とお話しはするわ
とにかくふざけてバーレッスンをしていました。

 
もう少し大きい子に目をやると
真面目にやろうとしてるのだけど
腰の位置もバラバラでポジションも甘い。
私にはどうしても
必死で頑張っているようには見えませんでした。
少なくとも、このあと本番を控えている人の
バーレッスンではありませんでした。


だけどみんなメイクと衣裳の気合だけすごい
そんな異様な光景でした。

 

 


もちろん床は絨毯だし
バーは通路の手すりだし、


満足のいくレッスンが出来る環境
ではないことはわかっています。


でも違和感の原因はそこではありません

 

 


衝撃すぎて私は思わず2度見・・・
どころかガン見してしまい(笑)

でもそれはもっと
「可哀想に」
という感情に近かったと思います。


彼女達のバレエに対する意識が
低いのでしょうか?
それとも怠け者なのでしょうか?

 


いいえ。
彼女たちは、良い指導者に巡り会えなかった
のです。

 

「先生に厳しく教えてもらえなかった結果
こんな風になってしまった。可哀相に・・・。」
と心から同情しました。

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今は国内のコンクールも
溢れるほど沢山あって
いつでも誰でも舞台に立つ機会があります。


同時に
「親がお金を払えばいつでも出れるし」
「この間ダメだったからまた来月出ればいいや」
といったように
舞台に立てることへのありがたみ、緊張感
薄れてしまっているように感じるのは
とても残念な事です。

 



舞台裏でもお友達とおしゃべり
先生に対し敬意が感じられないくねくねした話し方。
衣裳を着たままジュースを飲んだりお菓子を食べたり
アップをテキトーに済ませたあとは


がっつり厚化粧をしてもらい
派手な衣裳を着せてもらって
「○○ちゃん可愛い~♪」と言われながら
先生にSNS用の写真を撮られまくられるもんだから
子供もますます集中力が失われていく・・・

 

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厳しく指導すると子供は離れていくのですか?
その程度の信頼関係なのでしょうか?
だから「先生大好き!」と言ってもらいたくて
楽しい事を餌にして、甘やかすのですか?

 


一体コンクール会場に
何をしに来ているんだろう・・・
真剣にやっている人に失礼。
こういうことは個々のスタジオ内でだけやってくれ
というのが正直な感想でした。
 

 

私は特に、
指導者に対する敬意の感じられない口のきき方
を許している指導者の心理の理解に苦しみます。
「先生~○○してくださーい」
「えー先生もう無理~~」


・・・これってもう
一人の大人として、子供の育て方失敗してますよね。
そういう場合に限って大体
バレエの技術もきちんと教えられていないのに。


 

 

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もちろん
10年前、20年前の子供とは
環境も事情も違うのは分かります。

でも、だからこそ
バレエという素晴らしい芸術を通して
学校だけでは学べない様なことを
次の世代へ伝えていくべきで
それこそが

指導者の責任・使命・仕事・やりがい
なのではないでしょうか?

 

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衣装とメイクの派手さ
舞台用の作り笑いと
ポジションをごまかす技術を教える前に
どのような態度で舞台に臨むべきなのか
どのような態度で稽古に向き合うべきなのか
を是非教えてあげてください。

 


それぞれに好きなヴァリエーションを与え
準備が出来ていなくてもトゥシューズで踊らせ
大して頑張っていなくてもコンクールに出す


これは本当に生徒のためでしょうか?
自分のためですよね・・・
もっと言えば
生徒獲得争いに勝ち残るためではありませんか?

 

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もちろん全員がプロを目指しているわけではありません。


けれどせっかく
バレエという歴史ある芸術
学べる機会があるのであれば


例え週1回しか通わない子供でも、
稽古を通して
やると決めた事を継続して頑張る事の素晴らしさ
努力をし目標を成し遂げる達成感
美しい姿勢、挨拶、礼儀
家族や仲間への感謝
は学べるはずです。

そういうことを
子供達に伝える心構えで
毎回レッスンして頂いたら
子供が先生に気安く話しかけるなど
自然と出来なくなると思います。

 

 


日本は少子化の中
どんどんバレエ教室の数が増え
生徒獲得が難しいのは分かります。


でも、
SNSなどに楽しい様子や表面だけの派手さを
投稿することだけでなく


礼儀や基礎の正確さで勝負できる
バレエ教室が増えたら
きっと日本のバレエ界のレベルは
もっと高く、良くなると信じています。

 

 

 

指導者の皆さんが
何か1つでも考え直すきっかけになればと思います。

 



それでは。