スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

舞台用語を勉強しよう その②

今回の記事は

舞台用語を勉強しよう その① - スワニルダのバレエライフ blog

の第二弾です。 こちらも併せてお読みください。

 

それでは引き続き、バレエの舞台用語について
+αを加えたダンサー目線でお話ししたいと思います。

 

 

舞台袖

文字通り洋服の「そで」のイメージで、舞台の両端に広がっています。

 

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写真のように、舞台袖は基本的に暗いですので気を付けましょう。
これは、舞台(ステージ)が一番明るく見えるようにするためです。

 

また、舞台に近づきすぎると、袖で待機している様子が
客席のお客様から見えてしまうことがあります。
これももちろんマナー違反。
自分が舞台で踊っていない時は、決して姿を見せてはいけません。
舞台へ出ていく直前に袖で待機する時は、
舞台から3-4歩手前に立つ事を目安にしてください。

 


また、舞台袖には私物は持ち込みません。
これから踊り出そうという人、踊り終わって走って幕に入ってくる人が
舞台袖で転んでしまったら大変です。
本番直前まで身につけている上着やレッグウォーマー、
水のペットボトルやタオルは、自分の名前が書かれた
巾着袋などに入れて、邪魔にならないよう、
少し離れた隅に置いておきましょう。
自分の出番が終わったら、速やかに荷物を取って楽屋へ戻ります。


またリハーサル中、本番中、袖で待機している時は静かにしましょう。
大きな声でおしゃべりをしたり、物を食べたり
無意味に長時間座るなどすることは舞台さんや他の出演者の迷惑です。

 

 

緞帳(どんちょう)

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舞台と客席を区切る大きな幕のことです。
舞台を見に行くと、開演前は舞台に幕が下ろされていて
中の様子が見えないようになっていますよね。
発表会などの休憩時間や、公演の幕と幕の間にも閉じられます。
中ではダンサーが、本番前ギリギリまで動きや場所の確認をしていたり、
舞台さんが転換(セットを変えたり)しているためです。
赤いゴージャスなカーテンのようなものから、
巨大な絵画ような平たいものまで、形やデザインは様々です。

フィナーレなどで最後に緞帳が閉まるときは、
特に上から下りてくるタイプのものには気を付けましょう。

 

 

暗転(あんてん)

照明を消して舞台を真っ暗にし、客席から見えない暗い状態のこと。
照明が明るくなり音楽が鳴った時に、すでに舞台上にいる状態(板付き)
から始める作品などでは、この暗転が使われます。

 

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また作品の終わりで、徐々に照明が落ちて暗くなったりもしますよね。
照明は色や入れ方、落ち方で作品のイメージがだいぶ変わります。
照明は舞台演出に欠かせない芸術の表現技法なのです。

 

 

 ホリゾン

舞台って客席から見て長方形になっていますよね。その一番奥の壁がホリゾント。
ホリゾント幕が吊るされており、いろんな色の照明を当てることで、
作品に合わせた背景を作りだし、踊り手がより綺麗に見えるようになっています。
周辺には大きな照明がたくさん置いてありますので、
舞台上で踊る時は近づきすぎないよう注意しましょう。
そのままですが通常は「ホリ」と省略して呼ばれます。

 

 

 

板付き 

作品の曲が始まってから舞台に登場するのではなく、
既に舞台上にいる状態から作品が始まる方法です。
自分の出番の1つ前の作品が終了したら一旦暗転(真っ暗)になるので
その間に出演者が静かに舞台上の配置に付き、ポーズ(動かない!)をします。
つまり照明が入ると、既に踊り手が舞台の上に。という演出です。
かなり暗いので、目印となる床のテープやライトを目印にします。
「照明が明るくなったら全然違う場所にいた!」
ということが無いよう、場当たりやリハーサルなどで
しっかり感覚を覚えておくことが大切です。

 

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分かりやすいヴァリエーションでいうと、
眠れる森の美女第3幕のオーロラ姫のバリエーション。
袖から歩いて出てきてセンターでポーズをします。
暗転になるわけではありませんがこれも板付きです。
つまり踊り手が舞台上でポーズ(動かない)をしてから
音楽が流れるという始まり方ですね。

 

 

きっかけ・キュー

よく間違った表記を見かけますが、Qじゃないんですよ。スペルはCueです。
踊り出しのタイミングを合図することです。
踊り手の動きに合わせて曲がスタートするという作品も沢山あります。
例えば分かりやすいヴァリエーションでいうと、
白鳥の湖のパ・ド・トロワの男性バリエーションなどですね。

想像がしにくいという方の為に例を1つ載せておきます。

www.youtube.com


ここでは、最初のジャンプの一番高い位置で、音の最初が出るよう
舞台さんの音響担当の方がタイミングを合わせ曲を出しています。

 

 

音先

きっかけ、板付きとセットで覚えると良いでしょう。
踊り手は主に舞台袖で待機しており、曲が流れてから登場する・踊り出す
という始まり方です。もちろんいろんなバージョンがありますが、
分かりやすい例で言うと、ドン・キホーテ第3幕の
キトリのヴァリエーションなどですね。

 

 

 

第二弾でもたくさんの業界用語が登場しました。
これらを覚えておくと舞台に立った時に慌てなくてすみますので
しっかり備え勉強しておきましょう。

 

それでは。