スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

真似が上手い人はバレエの上達も早い

上手な人の特徴をとらえて
良いところだけをどんどん吸収できる人というのは
いわゆる「器用な人」「カンが鋭い人」
「センスが良い人」なんて言われます。

たしかに真似が上手い人というのは
その人の特徴を捉えるのが得意という事ですから
なんでも上達が早いと思っています。

 

バレエだって真似が基本。
すでにある「型」を、1つ1つ習得していくのです。
そしてそれを継承していくために「先生」という存在がいます。

 

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バレエで上手な人を真似をするには
①自分を客観的に見て、ダメなところに向き合える
②理想の人の動きを分析し、自分と比較できる
③自分の身体を思うようにコントロールできる

というのが前提になります。

 

まず①ですが、
自分を客観的に見るということはとても難しいことです。
誰だって自分が踊っている時に、同時に自分を見る事は出来ません。

発表会やコンクールで
自分が過去に踊った映像なら何度も見ていると思いますが
「あ、ここのつま先気をつけよ」とあとで思っても
なかなかそんな簡単には直せないものです。
つま先を「伸ばそう」と思っただけで本当に伸ばせたら苦労は無いです。

自分を客観的に見てダメなところに向き合う、とは
誰が見ても気付く「あ、つま先」「あ、ここの手が変」
といった所どころの話しではなくて
全体の自分のクセや、踊り方の特徴を考えてみてほしいという事です。
だって、つま先が伸びていないのはどこか1ヶ所だけではないはずで
根本的につま先が伸びていないんです。

また、
自分が頭の中で思い描いていることと
実際にやっている事にギャップがあると気付く事も大切です。


上達への第一歩は
自分ができていない事を自覚し、落ち込まずに認めることです。

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②は、理想の人の動きを分析し、自分と比較できる
です。


自分が理想とする人と一緒にレッスンができる環境の人はラッキーですが
そうでない人は、その人の映像など何度も見たことでしょう。
何故その人は綺麗なのでしょうか?どこがどうすごいのでしょうか?

例えば
幕から出てきた瞬間の華やかさ
アロンジェにしたときの、自然でふわっとした表情
レべランスの優雅さ・・などなど
その人の「雰囲気」なども真似してみましょう。

つま先がぶらぶらなのに、ここばかりやるのは良くないですが
その人になりきって、ひそかに家で練習してみるのも
良いトレーニングになります。

膝、つま先を伸ばす、もっとターンアウト
脚を長くする、顔を小さくする、背を伸ばしたい
などはすぐには変わりません。


ですが
意識や雰囲気、仕草、表情
ポール・ド・ブラ(腕の動かし方)
幕から一歩出てくる時、スムーズな回り込み方
レべランスからはけるまでの一連の動き など
これらは手っ取り早く真似がしやすいところなのです。

「こうやって右脚を細かく運ぶとスムーズに出来るんだ」
「自分と比べるとひじの使い方が柔らかいな」
「ここでしっかり目線を上げるだけでだいぶ印象が違うな」
など、「何故きれいだと思うのか」を具体的に探してみましょう。

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理想の人と自分の踊りを映像で比較したい時
同じ振付のヴァリエーションを使うととても分かりやすいです。

理想の人が踊っているヴァリエーションと同じ振付の曲を練習し
スタジオでいいので、自分の踊っている姿を撮影します。
全く同じ振付にすることで、嫌というほど、あらゆる場面で比較ができます。
タブレットなどの画面を横並びにし、同時に再生して見比べてみましょう。

自分が上手くいっていないところを
理想の人はどのように踊っているでしょうか?
一体何を変えれば近づけそうですか?

こういった作業にはたくさんの発見があり
自分の出来無さ加減に落ち込む以上に、ワクワクもすると思います。

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最後の③は
自分の身体を思うようにコントロールできる
でした。

①で自分の足りないところを客観的に見ることができ
②では、自分と理想の人の違いを具体的に探すことができました。
これら頭の中で考えたことを
③で実行に移し、改善しなければいけません。


脳で「目の前にあるペンを右手で取れ」
と命令すると、その通りに行動できますよね。
では何故つま先は言う事を聞いてくれないのでしょうか?

バレエは1秒の中でも、顔、指先、つま先、腰、肩・・・など
注意しなければいけない事が山ほどあるので
踊りながら全てを同時に考えることは不可能だと思います。

だからこそ、(つま先に関して言えば)
「足が床から離れたら反射的につま先が伸びる」
状態になるまで、訓練をしないといけないということになります。
指先も肩も腰も、あらゆる身体の部位がそうあるべきなのです。
これがバレエのレッスンの根底にあります。

話しを戻すと、つまり③というのは
ほとんどが「普段のレッスンの積み重ね」によるものです。
結局のところ、バレエはこの一言に尽きます。

「真似するだけで簡単に上手になる方法だって?」
と、期待してこのブログを読んで下さった方には申し訳ありません。
そんな楽な方法は残念ながら存在しません。


あくまでも
あなたがコツコツと積み上げてきた基礎の上に
観察力や応用力を重ねることで、メキメキと上達します。

 



バレエは、既に習ったパやステップの組み合わせにすぎません。
例え初めて習った曲でも、分解して冷静に考えてみると
パッセも知ってるし、トンべやシャッセも知っている。
全て既存のステップで、組み合わせが違うだけなのです。

だから
基礎がしっかりしていて、あとは応用する力があれば
何でも踊れるようになると思いませんか?

よって
「新しく黒鳥のヴァリエーションをもらったから1から練習だ!」
は少し違います。
すでにレッスンで、ピルエットもアティチュードも
シェネもデブロッぺも綺麗に出来ていれば
あとはそれらをスムーズに繋げ、キャラクター性を研究し
「1つの作品」としてまとめ上げる練習をするべきであって

「さてと、黒超でピルエットを練習しよう」
という姿勢は、少し違うというのがお分かり頂けるでしょうか?
あなたがまだこの段階にいるのなら、ただ単にレッスンが足りないので
ヴァリエーションより、必死にレッスンをした方が近道です。



「自分の身体を、理想の人の動きに近づけられるようにコントロールする」
つまり「真似が上手になる」の根底には、
まずあなたにしっかり基礎力があることが前提というわけです。

”上手な人”の良いところを吸収するため
常にアンテナを張っておきましょう。



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最後に大切な事を1つ。

 

理想の人の分析ができたら、是非外見だけでなく
その人のバレエに対する姿勢や努力も真似てほしいです。

あなたや他の人がその人に憧れるというのなら
その人はきっと、ただ綺麗なだけではないでしょう。
周りにちやほやされたり、舞台上の華やかなところでは無くて、
自主トレーニングの様子、稽古の姿勢こそ、真似るべきだと思います。

これは、上手な人、努力できる人、憧れる人が
同じ稽古場にいる環境で無いとなかなか叶わないですね。

もしかしたら人の見ていないところ
例えば食事がとてもストイックだったり
家でも特別なトレーニングを欠かさずやっていたり
内に秘めるバレエへの情熱やこだわりがあったり・・・

こうなるともはやプライベート事にはなってしまいますが
今はインスタグラムなどでも気軽に繋がる事も出来ますから
憧れの人の生活スタイルから、何か上達のヒントが得られるといいですね。
有名な人であれば雑誌のインタビューなども参考になるでしょう。

 

 

 

バレエに限らず、普段からなんでも
いいなと思ったことは素直に自分にも取り入れてみましょう。
そしてあなたも是非「上手な人を真似る」スキルを
習得する練習をしてみてください。

 

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それでは。

 

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めずらしく、おまけ。

 

ところで皆さんは

レッスン中に鏡越しに見る自分というのは、
自分が見たい自分しか見ていない、という事をご存知ですか?

「自分の太い足を毎日嫌というほど見ている」
と言う人もいるかもしれませんが
それはバーレッスンで鏡の前に立った時に
自分の姿が目に入ってくる時ですよね。
そういう話ではありません。


何かポーズの練習をしているとか
踊っていて顔が正面を向いた時
自分が得意な事をしている時、
それからキメ顔をしているときなんかに
人は無意識に鏡で自分の姿をチェックしています。


以前何かでモデルさんがおっしゃっていました。
「ポーズを決めている時に綺麗なのは当たり前。
誰も見ていない時、ふとしたときに素が出る。
それが汚いうちはまだダメ。

まさにバレエも同じだと思いました。

誰も見ていなくても、360度どこから見ても綺麗になれないと
「決めポーズだけやたら綺麗」という人になってしまいます。

無意識に流してやってしまっているところ
派手なテクニックじゃない、地味で細かいところ
思わず目をつむりたくなってしまうところ。
ありますよね。
そういうところほどしっかり目を開いて見て、改善していかなければ
そこはいつまでも汚いままです。

 

そこに向き合うことができれば
きっとあなたの踊りはまた一歩、上手になれると思います。


おまけのお話しでした。

 

 

 

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