スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

大人からバレエを始めた人の気持ち

人の気持ちや痛みって
それを経験したことのある人でないと
なかなか共感したり、理解をするのは難しいです。

出産の痛みは、出産したことのある人
宝くじに当たった喜びは宝くじに当たったことのある人
パリでエッフェル塔を見た感動は実際に行ったことのある人
にしか分かりません。



それと同じように私も日々悩んでいるのが
「大人からバレエを始めた人の気持ちが分からない」
です。

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これは、
たとえ長年大人のクラスを教えていても

自身が子供の頃からバレエをやってきて
その後プロの厳しい環境で踊ってきたような人であれば

本当の意味で「大人からバレエを始めた人の気持ち」を
理解をするのは難しいと思っています。
だって自分は経験したことないんですから。

 

どうしてできないんだろう?
何がひっかかっているんだろう?


もちろん決して馬鹿にしてるとかではなく。
これは子供の頃からやっていないと難しいんだろうな
ということまでは分かるのですが、
どのように伝えたら伝わるのか?
指導となるととても難しいのです。

 

ご本人たちから聞いた話しや
クラスを見ていて思う事は
やっぱりバレエって
いかに正しい「クセ」をつけられるか
ということです。


まだ身体が柔らかいうちに
強制的にバレエのポジションを身体に染み込ませ
その状態をいかに筋肉に覚えさせることができるか
にかかっています。

 

子供の頃からバレエをやっている人は
知らず知らずのうちに身体がバレエ仕様になっていき
それが当たり前になっていきます。
これが強いんですよね。

大人からバレエを始めた人が
なかなか超えられない大きな壁になります。

 

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ちなみに、いつも私のブログを読んでくださっている人は
すでにお気付きかと思いますが
私は真剣にバレエをやってきたので、
そうでない人を見るとどうしても辛口になってしまうんです。

つまり、この章で私が話している
「子供の頃からバレエをやっていて
大人からバレエを始めた人の気持ちが分からない人」
というのは、

たとえバレエ歴10年以上であっても
趣味の週2回で、特に厳しいレッスンを経験せず
未だ甲もないし、膝も曲がったままの人の事ではありません。



つま先を伸ばすことは当たり前
伸ばさないと気持ち悪い
足を一歩出すのも常にかかとから
そんなの当たり前。

という人以外は、
例え3歳からバレエをやっていても
ほとんど一般の方に近いと思っています。
身体に正しいバレエのクセがつかなかったのですから。


だから、一概に
「子供の頃からバレエをやっていた」
というのは厳密に言うと間違いで

「本人にやる気があり、とても厳しい環境で良い指導者から教わっていた人」
と言った方が正しいですね。


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私は、バレエをやっていない知り合いに
「色んな曲踊ってて、振付忘れないの?」
と聞かれてびっくりした事がありました。
「言われてみれば・・・・」と思ったのです。


音楽と振付は常にセットですから
リハーサルを繰り返しているうちに
両方が同時に身体に染み込んでいきます。
なので、頭で考えるというよりは
「身体が勝手に反応」という感じで
ある程度踊り込んでからは
間違える方が難しいですよね。

この感覚はバレエに限らず「ダンス」をやっていない人には
なかなか不思議な現象かもしれませんね。

 

他にも「つま先で立って痛くないの?」
とかまあいろいろ聞かれますが
子供の頃からやっていると、何の疑問も持たず
それが「当たり前」状態となってしまうので
はやり「洗脳(?)」という要素も大きいかもしれません。


最初で述べたように
それを体験していない人の気持ちは分かりませんから
同じバレエをやっている人でも様々。
バレエをやっている=誰にでもバレエが教えられる
ではないというのが私の考えです。

そんなこんなで
私が大人クラスを教えるのはどうかな~と思うわけです。

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ターンアウトが生まれつき完璧で
すでに美しいつま先を持って生まれてきた外国人の方は
条件の悪い日本人の気持ちや苦労は分かりません。

私たちだって、生まれつき条件の良い人たちの気持ちはわかりませんよね。
「楽に出来ていいね」とか「さぞかし気持ちいいだろうな」
くらいでしかありません。



だから海外のバレエ学校の先生は
自分達と同じような条件の生徒をオーディションで選ぶわけです。
ターンアウト、つま先、柔軟性、体型、才能など
全てクリアした人のみが入学でき、
かつて同じように選ばれダンサーになった指導者に師事します。
同じようにエリートコースに進めば、
プロになる可能性が非常に高いからです。

このような海外の指導者が
日本人のように、ターンアウトも不十分
膝も伸びないし足も短いし・・という生徒を教えるのは難しく
本当の意味で生徒達の気持ちになり、
身体の条件をしっかり把握したうえで教えるというのは
なかなか難しいと思います。


こう考えると
大人からバレエを始めた方は
同じく大人からバレエを始めて既にベテラン、という方や
小さい頃に少しかじっていて再開しました、という方に教わるほうが
気持ちが理解してもらえる分、教わりやすいと思います。


ただ、本場の方に教えてもらいたい!
という気持ちももちろんあると思います。
同じ空間で雰囲気やオーラを感じるだけでも
モチベーションになりますよね。
時には講習会やイベントなどで
そのような機会があれば参加してみるのも良いと思います。


が、普段のレッスンでは、見た目の華やかさだけではなく
なるべくあなたの気持ちや苦労を理解してもらえる先生
大人からバレエを始めた方だからこその踊り方・考え方
身体との向き合い方を教わる方が、ためになると思います。




大人からバレエを始めた方を教える時は
ヒアリングをして、一人一人により添えるような
レッスンを心がけたいですね。

 

 

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それでは。