スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

日本のバレエダンサーの厳しい現実

 

日本国内に
プロのバレエダンサーは
どれくらいいるのでしょうか。

 

f:id:balletblog:20180828184420j:plain

 
ここで私が言う
「プロのダンサー」とは
バレエ団員のことではありません。
踊り一本で食べていけている人
のことです。

 

 

バレエの教えや他でのバイトもせずに
純粋に踊る事だけで、ということです。
毎月安定した収入を得て、それを
自信を持って「職業です」と言え
社会に貢献しているか、という事です。


  

 
バレエを習う子供を対象としたコンクールは
バレエ人口世界一と言われる日本では
かなり需要があるので盛んですが
やはりスポーツでは無いため
オリンピックの競技になる事も無ければ
サッカーのように世界が注目する
ワールドカップ的な物も無いわけです。

 

お笑い番組などではふざけた感じで
取り上げられることもありますが
やはり少しお堅いイメージもあり
「いじりずらい」というのもあるでしょう・・・

 
よってメディアへの露出も少なく
世間への馴染みも薄く
一般の人は敷居が高いと感じるのも
無理はないでしょう。

 

 

特に日本は相撲や歌舞伎の国
バレエは国技でもなんでもありませんし

実際にスポーツ観戦や映画に比べ
バレエ公演のチケットは高いですよね。

f:id:balletblog:20180827223826j:plain

 

こうなると、
日本のバレエ団が
舞台をいくらやってもチケットは売れず
結局ダンサー負担
という厳しい現状があるのをご存知ですか?

チケット負担のないバレエ団もありますが
団員全員が毎月安定した給料がもらえるかと聞かれると
そうではないようです。

普通の社会人からすると
この時点ですでに
意味が分からないですよね。

 

 

 


例えばある人が、八千円のチケットを
バレエ団から10枚持たされたとします。
ダンサーはバレエ団に八万円を支払います。


それを自力で売りさばければ良いのですが
売れなければ
手元に残るのは紙きれと赤字の2文字。


対して1回公演あたりでもらえるギャラはスズメの涙。
こうしてダンサーが負担をかかえることで
日本のバレエ団の公演は成り立っています。

バレエ団側は良いですよね。
毎月団員から団費 (え、月謝の間違いだよね?)
を徴収して固定費を賄い
自分達は安全の身を確保。
ダンサーが赤字になろうが苦しもうが
自分達は前払いでチケット代がもらえるんだから。
ていうか
バレエ団はチケット売る気あるのかなー・・・



こういいった訳の分からない制度が
日本のバレエ界の常識です。
バレエ団員は定期的に舞台に立ちたいがためにバレエ団に所属し
レッスンやリハーサルの合間をぬって
飲食店で働いて稼いだバイト代をバレエ団に納め
どうにか踊っているというのが
日本の大半の「自称バレエダンサー」の現状です。



こういったバレエ団は本当紛らわしいので
今すぐ看板を「バレエサークル」に変えてほしいですね(笑)
バレエ大好きな人が集まってお金を出し合って舞台をやる。
うん。楽しそう。
入会の条件は「就職している社会人」
なんてどうでしょうか。
クラスとリハーサルは夕方からやればいいし。

これでみんな生活に苦しまずに所属できていいですね。


なんかさらっと良い事言った気がしますが
どうでしょうか。


  

 

 

さて
冗談は置いといて・・・


本当この記事書くの
イライラしちゃって大変です(笑)

私はこれまで
団費を払った事も無いし
交通費を自腹で払った事も
チケットノルマを持たされた事は1枚も
ありません。

 

ノーギャラで踊った公演もないです。
だって舞台ごとではなくて
毎月給与制でしたし。

 

にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

 

f:id:balletblog:20200608191329j:plain



お金を払ってでも踊りたいダンサーを利用するバレエ団トップ
そしてそれを許してしまうプライドの無い日本のバレエダンサー
なんかいい感じに成り立っちゃってますけど


こんな事のためにみんな頑張ってきたんじゃないよね?

 

 



それが言いたくて(イライラしながらも頑張って)
このブログを書いています。
これを読んでくれた誰かの心に響いて
何かアクションを起こしてくれたらと。

 


でも一番変えなきゃいけないのは
一番の問題点というのは

 

一般のお客さんがバレエを見に来ない事 ←はいここテスト出るよー!


一般人はバレエを見に来ないのに

踊りたい人の方が多い。

 

需要と供給のバランスが崩壊した結果
これが日本のバレエ界というわけです。

 

 f:id:balletblog:20180827224058j:plain

 

もう少しバレエの敷居を低くし
沢山の方にバレエを見てもらうための
工夫は出来ないでしょうか?

 


本格的なものばかり追い求め過ぎるのは
バレエを踊る側・主宰者側の
自己満足では、とも思っています。

 


本格的なバレエに
一般の客が足を運ばないのであれば

客は意外と
「そんなすごいダンサー見せられても
技術の善し悪しは分からない」とか
そんなことよりも
「もっとチケットが安く気軽に見に行ければなぁ」
眠くならないような面白いものが良い」

と思っているかもしれません。

 

 

それなら例えば
小規模の公演を多数行い、
全幕物の人気のシーンだけを
ハイライトとしてまとめ
物語を短縮して上演するなどすれば


チケットも安く抑えられ、
客も途中で飽きずに楽しめるかもしれません。

 


今までバレエを見たこともないような一般客にとって
もっとバレエが身近になり
バレエを楽しいと思ってもらえ
自然と劇場に足を運ぶ習慣が広まれば

きっとダンサーも仕事になります

 
海外を真似て豪華なバレエをやったって
文化も歴史も習慣も違う日本では
同じように上手くはいかないのですから。

 

f:id:balletblog:20200610193337j:plain

 

しかし
海外の小・中規模のバレエ団では
こういった工夫は多くされています。


田舎などへもツアーで周り
普段バレエを見る事の出来ない人たちへ
バレエの楽しさを届けます。
各地の小さな劇場を満席にし、
経費が抑えられるコンテンポラリー作品を中心に
といった感じで
バレエ団ごとに工夫をしています。

こうしてダンサーはお給料がもらえています。

 

 

 

  

ただ、
海外に出た事の無い日本人ダンサーが
そこまでしてお金をもらいたいか?
言われれば・・・
恐らく答えは「NO」でしょう。


海外の大きなバレエ団の
キラキラした面に憧れを持つ日本人は


「私は大きな劇場で豪華な全幕物がやりたい!」
「コンテとか無理~」

と思うでしょう。


だからお金を払ってでも
豪華なクラシックバレエ
全幕物に参加したいのだと思います。

 

f:id:balletblog:20180903183013j:plain

 

海外の考え方はシビアです。
みんな仕事をしに来ているわけなので
自分のレベルが大きなバレエ団に見合っていないと分かれば
中・小規模のバレエ団に入ります。

(海外のバレエ団は少人数の所でもきちんとお給料が出ます)

 

そして
田舎の小さな劇場だろうと
子供向けの公演だろうと
少人数でのコンテンポラリー作品だろうと
劇場の床や楽屋が完璧な状態でなかろうと


お金を頂くために、仕事として踊ります。


 

実際に小・中規模のバレエ団でも
きちんと給料をもらって活動しているダンサーは
厳しいバレエの現実を知っているので


「踊ってお金を頂けるなんて幸せな事だ」
と感謝の気持ちとハングリー精神を持ち
どんな作品でも真剣に取り組むものです。

 

 

これが
「バレエを仕事・職業として踊る人たち」

「お金を払ってでも
豪華なバレエを踊りたい人たち」


の精神的な違いです

 

 

まぁ後者のような人がいなくなってしまったら
日本のバレエ団は成り立たないかもしれません。

 

 それもどうなんですかね・・・。

 

f:id:balletblog:20180925032203j:plain


自分にとってバレエは趣味なのか
それとも本気で仕事にしたいと思っているのか
考えてみてください。

本気でバレエを仕事にしたいのなら
日本で踊るのは厳しいでしょう。
ただ海外でお金を頂けるレベルというのも
相当の実力が必要です。

 

 

 海外のバレエ団を目指したい方は
次章の
 「海外のバレエ団を目指す皆さんへ」を読んで
あなたにその覚悟があるかどうか
考えてみてください。

 

balletblog.hatenablog.com



 

 

 

それでは。