スワニルダのバレエライフ blog

日々バレエに関わる中で思う事を、綴っています。時には辛口な表現もありますが、(特にバレエ関係者の人は少々傷付く覚悟を持って)お読み頂けると嬉しいです。

バレエダンサーの身体の条件【膝】

バレエダンサーの身体の条件【つま先と甲】
の方は既に読んでいただけたでしょうか?

同じシリーズで
今回は膝についてお話ししたいと思います。
ダンサーの命「脚」のとても大事な部分で
悩んでいる人も多いですよね。

 

 

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バレエの注意をするとき
膝に限った事ではありませんが
生まれつき条件の良い人とそうでない人は
少し注意する点が異なります。

 

私がトゥシューズを履き始めた頃
同じ時期にトゥシューズを履き始めた
子供たちを集めたクラスがありました。
その中にすごい甲の子がいて・・・
それはそれは綺麗な足だったのですが
先生が全体に向け
「プリエを使って甲をしっかり押し出して・・」
と言いながら
「あなたは甲に頼ってはダメ。
もっと上に引き上げなさい」
と、その甲の綺麗な子には
別の注意をしながらクラスを進めていました。



生まれつき甲が柔らかく
頑張らなくても甲が伸びる子に
「もっと体重をかけて甲を押し出して!」
と言ったらどうなってしまうでしょうか。
確かに、下手したらボキッ!
といってしまうような足でした。


そんなわけでしばらく彼女は
いつもみんなとは少し違う
別のメニューをこなしていました。

いくら足が恵まれていたとしても
彼女も他のみんなと同じ
トゥシューズの初心者です。
誰もが羨ましく思うような足でも
そんな足ならではの苦労もあったようです。

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以上の例はたまたま「甲」の話しでしたが
何が言いたかったかというと
生まれ持った身体の条件によって
適応するトレーニングは少し違う
ということです。

 

生まれつきX脚(弓脚などとも言う)
つまり膝がぼこっと出ておらず
綺麗にしなったラインである人は
普通に立っているだけで膝が奥に入ってしまい
身体を引き上げる力が弱かったり
思うように力が入らなかったり
条件の良さに甘えてさぼったりしがちです。
(頑張らなくても膝が伸びてしまうため)

 

 

今回は
上記のような恵まれた膝の持ち主ではなく
どちらかというと膝に悩んでいる
大半の皆さんに向けた内容となっています。


まあ膝に自信がある人も勉強になる事はあると思うので
是非読み進めてみてください。

 

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バレエの面で条件が悪い膝というのは
今述べたような、しなやかな膝を持った人とは逆で
本人がどんなに頑張って伸ばしたつもりでも
膝が曲がっている(曲がって見える)人です。
生まれつきの脚の形的に、
ぐーっと気持ち良く伸びないんですね。


自分がこのタイプだと気付いていない人もいますが
今現在真剣に悩んでいる人は、少なからず
自分の欠点に気付いていて、直したいと思っている人ですね。
それだけでも立派です。

 



さてそんな人は、
膝小僧を上から無理やり押すイメージというより
膝の裏のを伸ばすイメージをしてみてください。
よくやる、膝を上からぐいぐい押さえつけてるのではなく
膝の裏に注目する、というのがポイントです。


膝がしっかり伸びない人というのは
裏から見てみると良く分かると思うのですが
くの字に凹んでいて、水が溜まりそう。
この影が出来ている部分を
ぐーっと光のあたる所に出してあげるイメージ。
水が溜まらないよう
くぼんでいる部分を跳ねるイメージです。
うーん・・・伝わりますか?

 

 


1番に立っている時には
脚全体の内側のラインを意識しましょう。
もも、膝、ふくらはぎ、かかと
全ての内側をピタッと隙間の無いようにつけ
更にそれを集めて上に引っ張るイメージです。

 

膝が曲がっている人や
ももの外の筋肉が発達してしまい
脚が外の力に引っ張られている人は
自分の力だけで立っても
両脚の間に隙間が開いてしまうでしょう。

 

少し強制力が欲しければ、
隙間ができてしまう部分(膝やももなど)に
ぐるぐるとサラバンドを巻いて立つ
というのも、「伸びた感覚」を覚えるには良いでしょう。
(長時間無理にはやらないでください)



 

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膝が伸びない原因の1つに
ももの外側の筋肉が凝り固まっており
膝周辺の筋肉の邪魔をしている事も考えられます。


イメージしてみてください。
膝の周りの筋肉がガチゴチに固まっていたら
膝の裏は綺麗に伸びませんよね。

レッスンではももの内側の筋肉を鍛えていかなければなりません。
「えいっ!」と勢いで動いたり外の筋肉ばかり使っていると
脚がどんどん外側に引っ張られ、
ゴツゴツのラインになってしまいますし
膝が伸びない原因にもなってしまいます。



ここまでのまとめは
○膝の裏の凹みを押し出すイメージ
○脚の内側のラインをピタッと付けて立つ
○ももの外側、膝周辺の筋肉を固めない

 

となります。
これらを意識した上で
レッスン前後に出来る簡単なエクササイズをご紹介します。

 

 

 

 

 

膝伸ばしのエクササイズ

 

床に座り、両脚を前に出します。
少し厚みのある本にタオルを巻いたものなど
かかとを乗せても痛くないものを用意します。
前屈をするときに、かかとの下にこれを置くだけです。


↓ちなみにこの写真の人
(フリー画像なので、特にダンサーとかではない)
横から見ると、床と膝の間に隙間が見えますよね。
普通の人が見ればこれは「膝が伸びている」状態
と言うでしょう。
しかしバレエダンサーの視点からすると、
曲がって(ゆるんで)いますよね。
バレエで言う「膝を伸ばす」とは
一般人が認識する「膝伸ばし」とは明らかに違います。

 

 

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このエクササイズを行う時のポイントは
「膝の裏を床に付けること」です。
すぐにつかなくても、意識して裏から伸ばしてください。

 

かかとは本のおかげで
床から少し浮いた状態になっているので
「膝裏は床に付き、かかとは浮いている」状態
つまり皆さんがいつもしているストレッチと
逆の状態になると思います。
これで前屈をすると、膝がしっかりと伸びるわけです。


痛気持ちいくらいのレベルで毎日行いましょう。
レッスン前後に、各5分ずつやるだけでも違います。
これで膝を伸ばす感覚が覚えられたら
立った時も意識しやすいでしょう。
まずは1カ月ほど続けてみて効果を実感してください。
本一冊で出来るようになったら
より厚い本にしてみたり、2冊にも挑戦してみましょう。

 

 

 

膝周辺の筋肉をリラックスさせる

さて今度は、更に膝を伸ばしやすくするため
周辺の筋肉を柔らかく整える方法です。


バレエは、ただがむしゃらに
力を入れてやれば良いということはありません。
頑張れば頑張るほど逆効果、という失敗も
私自身、身を持って経験しました。
私の場合、頑張っているうちに
間違った方向に筋肉を使いってしまい
膝が伸びにくくなったと感じる事がありました。

 


学生の頃は
風邪や怪我でレッスンを休むと
それが例え2日でもすごく下手になった気がしたものですが
良い事もありました。
脚の筋肉を少し休ませ柔らかくなったことで
すっきりとした脚になっているではありませんか!

「これはすごい」と思いました。
同時に普段どんだけ使っていたんだ・・と。
ガチガチな筋肉は、良質な筋肉ではありません。
しなやかで細く長い筋肉がダンサーには必要です。

 


先ほど説明したように
外の筋肉が固まってそちらに引っ張られると
いざ膝の内側を伸ばそうと思っても
上手く伸びてくれません。


そういった時は少しレッスンをお休みして
筋肉を休ませたりほぐしてあげることで
膝が伸びやすくなります。
そしてこれを機に、正しい筋肉の使い方にシフトしなければなりません。
また同じレッスンを繰り返しているだけでは
ゴツゴツの筋肉は落ちません。


もちろん日々のレッスン後に手でほぐしてみたり、
お風呂に入りながら膝裏を手でさするのも効果的でしょう。

 

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少し膝が伸びる希望の光が見えてきたでしょうか?


絶対動きそうのないガタガタの歯並びだって
矯正(きょうせい)で綺麗になるんです。
「年」単位での時間はかかりますが 
コツコツと理想の脚を作っていきましょう。


 

質問や意見があれば
気軽にコメントくださいね。

 

それでは